世界の女性映画DVDセレクション @TSUTAYA 宇都宮駅東口店
うさぎやTSUTAYA宇都宮駅東口店 にて、2021年5~6月にレンタルDVDセレクションコーナーを作っていただきました。世界の女性映画監督特集!ということで10本選んでいます。できればみなさん、現地でご覧になってレンタルしていただければと思いますが、紹介文をこちらにも載せておきます。
※ レンタルDVD在庫ありのものからの一般向けセレクトです。
\\ムビラバ✖︎TSUTAYAコラボ‼︎//
— うさぎやTSUTAYA宇都宮駅東口店 (@TSUTAYA79513336) 2021年5月3日
宇都宮コミュニティFM『ミヤラジ』@miyaradi (FM77.3MHz)にて毎週金曜21時〜22時放送中『We are Movie Lovers.』(略してムビラバ)コラボコーナー展開中(*´꒳`*)5月・6月は初のゲスト‼️宇都宮共和大学教員・吉良貴之さん@tkira26 セレクトの映画です〜#ミヤラジ pic.twitter.com/a3DCW7AVuP
■ 世界の女性監督たち
1. アニエス・ヴァルダ監督「5時から7時までのクレオ」(仏、1961)
★ スタイリッシュな映像と、ちょっとした寒気
1950~60年代のフランスの映画運動「ヌーヴェル・ヴァーグ」の中心の一人、アニエス・ヴァルダ 監督(1928~2019)の代表作。一人の女性がパリの街をふらふらとさまようだけの話だが、スタイリッシュな映像が今から見てもおしゃれ。しかし、ずっとまとわりつく「死」の影がおそろしい。ゴダールやトリュフォーにはない冷めた感覚が独特だ。その後の「幸福」「歌う女・歌わない女」などとあわせてぜひ。(Filmarks)
2. チョン・ジェウン監督「子猫をお願い」(韓、2001)
★ 韓国の女子高生5人の何気ない日常
韓国の チョン・ジェウン 監督(1969~)の長編デビュー作。5人の女子高生たちのなんだかうまくいったり、いかなかったりする日常を繊細なタッチで描く。女子会でプレゼント交換したりするときの、ちょっとしたすれ違いに胸がしめつけられる。彼女たちはこれからも同じように生きていくのだろうが、どこか爽快感のあるラストに注目だ。決して暗くならないのは、後に大スターになった ペ・ドゥナ の眼力あってこそ。(Filmarks)
3. グレタ・ガーウィグ監督「レディ・バード」(米、2017)
★ 映画運動「マンブルコア」を主導!
アメリカの グレタ・ガーウィグ 監督(1983~)の作品。田舎町の息苦しい生活から脱却し、ニューヨークでの華やかな生活を夢見る自由な女子「レディ・バード」。ガーウィグ監督は、たわいもない日常を若者目線で描くインディーズ映画運動「マンブルコア」の主導者だ。出演作品『フランシス・ハ』『29歳からの恋とセックス』(2012年)などと合わせてみれば、現代アメリカの等身大の若者の姿が見えてくるはず。(Filmarks)
4. ジェシカ・ハウスナー監督「リトル・ジョー」(オーストリア、2019)
★ みんな変わったの? 変わってないの?
オーストリアの ジェシカ・ハウスナー 監督(1972~)の最新作。バイオ企業に勤めるアリスは、幸せになれるバラの花「リトル・ジョー」を開発する。その香りをかいだ人々の何かが変わっていく……、いや、本当は何も変わっていないかもしれないという「ポスト・トゥルース」時代のホラー映画。極彩色の映像美とスタイリッシュな構図にも要注目だ。日本人作曲家・伊藤貞司 の妖しい和楽を効果的に用いているのもポイント。 (Filmarks)
■ 映画一家で育って
5. ゾーイ・カサヴェテス監督「ブロークン・イングリッシュ」(米、2008)
★ ニューヨークでもパリでも男運が悪い!
アメリカの ゾーイ・カサヴェテス 監督(1970~)の長編デビュー作。どうにも男運の悪いヒロイン・ノラの婚活物語。ふんわりとした白い映像に独特のおしゃれ感がある。登場人物はなぜかみんなほっそりとしていて、今にも折れてしまいそうだ。そんなたくさんの細長い線が一瞬だけまじわるラストに注目。なお、監督の両親は即興映画の巨匠 ジョン・カサヴェテス と大女優 ジーナ・ローランズ 。次のソフィア・コッポラとも友人。(Filmarks)
6. ソフィア・コッポラ監督「ロスト・イン・トランスレーション」(米、2003)
★ じんわりとした寂しさが現れるとき
アメリカの ソフィア・コッポラ 監督(1971~)の長編2作目。デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』(1999年)から最近の作品までコッポラは一貫して、女性たちのふとした寂しさが現れる瞬間を捉える。そこにあるのは「シスターフッド」といった言葉で元気付けられるような何かではなく、むしろ死と隣り合わせの空虚さだ。本作では、旅先でふっと昔のことを思い出して涙が出てくるような感覚を味わえることだろう。(Filmarks)
■ 日本の女性監督たち
7. 大九明子監督「勝手にふるえてろ」(日、2017)
★「こじらせ」をつなげるやさしさ
日本の 大九明子 監督(1968~)の作品。松岡茉優 が演じるヒロインは思い込みの激しい「こじらせ女子」で、理想の彼氏1と現実の彼氏2、その他たくさんの不思議な人間関係のなかで行ったり来たりする。たとえ思い込みでもとにかく映像として並べられるのが映画なのだ。すると本当につながってしまうこともあるかもしれない。関係を簡単に「切れる」SNSの時代にあって、人を「つなげる」のが映画のやさしさだ。 (Filmarks)
8. 山戸結希監督「溺れるナイフ」(日、2016)
★ どうにもうまく進まない青春
日本の 山戸結希 監督(1989~)の作品。どこかの田舎町の海辺で、山中で、バッティングセンターで、すらっと手足の長い男女が何かやりあっている。そんな風景を思いっきり引きで撮れるのがすばらしい。一方、スムーズに進まない流れは、ありあまる才能をうまく映画という形式に押し込めることを拒んでいるようにさえ思える。そんなふうに不器用にしか生きられない日本の若者の青春そのものを体現しているかのようだ。 (Filmarks)
■ 芸術に生きる女性
9. ステュアート・マードック監督「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」(英、2014)
★ アンナ・カリーナを復活させる!
人気ポップスバンド「ベル・アンド・セバスチャン」のステュアート・マードック監督による音楽映画。拒食症に悩みながらも成長する少女・イヴを演じる エミリー・ブラウニング がたまらなく魅力的だ。ゴダール作品の アンナ・カリーナ を徹底研究して生み出したという、キュートなファッションと演技には要注目。男子はすっかり置いてきぼりだが、その情けなさもまたいい感じ。60年代風のレトロなポップ音楽も最高に楽しい。(Filmarks)
※ 今回は女性映画監督特集ですが、マードック監督のみ男性です。
10. ジュリー・テイモア監督「フリーダ」(米、2002)
★ 性と身体を表現すること
アメリカの ジュリー・テイモア 監督(1952~)の作品。メキシコの女性画家 フリーダ・カーロ(1907~1954)の生涯を描く。生死をさまようほどの病気や事故を経て、自身の女性としての身体に向き合い、それを表現しないではいられなくなった生き様にはおそろしい迫力がある。本作の映像も彼女の絵画のようにダイナミックな色彩にあふれている。革命家 トロツキー とのつかの間の交流も見どころだ。(Filmarks)