2017年9月10日(日)に、大阪の福島区民センターで標記のような読書会を開催しました。研究合宿で関西出張だったので、どうせなら関西の方々と交流できたらと思いまして。ツイッターで協力を募ったところ、りべらびさんが手をあげてくださって、いろいろと準備をしてくださいました。心よりの感謝を申し上げます。会場の福島区民センターも、リーズナブルな価格でとても使い勝手のよい施設でした。
内容は ↑ の案内文に書いたようなことですが、5月に話題になった経産省次官・若手ペーパー「不安な個人、立ちすくむ国家」(PDF) を課題文献にしました。少子高齢化が急速に進み、世代間の不均衡がひどい状況になっているなかで、今後の福祉国家のあり方は?といったことです。このペーパーが打ち出している、徹底的に「個人化」された福祉国家ヴィジョンや、その背景にある「シルバー民主主義」あるいは世代間の対立状況といった現状認識について意見交換がなされました。
参加者は10名ほどで、年齢も20代から50代まで、バックグラウンドも多様な方々が集まり、いろいろな角度からの話ができ、とても有益な時間だったと感じています。こういった問題を「世代間」の枠組みで考えていくことが果たして妥当か、仮にそうだとしても具体的にどういった制度構想が可能か、といったことが多く議論されました。↓ のホワイトボードからも、当日の雰囲気を感じ取っていただけるのではないかと思います。
こんな感じです。 pic.twitter.com/NbnVuxWnHd
— 吉良テレビ乱 🗼 (@tkira26) 2017年9月10日
12頭目のラクダはどこにいる?
京都アカデメイアの大窪善人さんが、ニクラス・ルーマンが用いた寓話「12頭目のラクダ」をご紹介くださりました(大窪さんのブログは ↓ です)。世代間の利益対立(のように見える)状況を緩和する「また別の価値観(=12頭目のラクダ?)」を見つけることは可能でしょうか。非常に興味深い考え方だと思いました。
もちろん、そこには(細野氏の提案に見られるように)一定の危うさがないわけでもありません。おそらく、選択肢は多様にありうるでしょう。民主的連帯の基礎(としての平等)を維持するため、福祉国家的再分配をしっかり行ったり、若年世代の声を代表できるような形の議会改革を行ったりしていくべきかもしれません。
私自身はリバタリアンとして経産省ペーパーのヴィジョンにおおむね賛成ですし、人と資本と情報のグローバリゼーションによって達成される均衡が最も公正なものだろうと考えています。とはいってももちろん、それぞれは必ずしも排他的なものではありませんし、少なくとも過渡的には、各種政策のほどよいバランスが必要になるでしょう。それを考えていくために、こういった会で多様な視点を出していくことの大切さを改めて感じた次第です。
当日配布メモ(手書きの味)
ちゃんと読んでくださる方は ↓ のPDFでどうぞ。
http://jj57010.web.fc2.com/writings/20170910_silverdemocracy.pdf
関連スライド
参考文献: