tkira26's diary

吉良貴之@法哲学のブログ。

「法と法学の発展」『法学入門』(北樹出版、2019年4月)参考文献 (2)

1の続きです。 3. 古代ギリシャ・ローマの法思想 西洋思想の基本的なことはほとんど古代ギリシャ・ローマの時代に、萌芽的な形であれ現れているといえます。なので当時の思想から学ぶのが西洋法思想史の始まりとなりますが、なんといっても2000年以上前のこ…

「法と法学の発展」『法学入門』(北樹出版、2019年4月)参考文献 (1)

稲正樹・寺田麻佑ほか『法学入門』(北樹出版、2019年4月)に、「法と法学の発展」という章を執筆しました。内容的には西洋法思想史のおおざっぱな流れですが、歴史を学ぶことの意義とか、法学において学説を学ぶことがなぜ重要かとか、そういったことにも多…

吉良貴之・蝶名林亮 編『世代間不均衡下の都市倫理』(第一生命財団研究助成報告書)

吉良貴之・蝶名林亮[編]『世代間不均衡下の都市倫理』(第一生命財団研究助成報告書)ができあがりました。研究プロジェクトのページはこちらです。報告書では蝶名林さんと私の論文のほか、何名かの若い方に学術的コラムを書いてもらい、面白い仕上がりに…

卒業生向けカント読書会

最近は月に1回ぐらいで、卒業生向けの読書会をやっています。 読んでいるのはカントの『判断力批判』で、基本的には岩波文庫を使っていますが、必要に応じてドイツ語や英語も確認しています。1回が約70ページずつ、1年ぐらいかけて終わればいいかな、という…

『理想』700号(2018年3月)「特集 ドイツ近世哲学――私たちにとってのドイツ観念論」

全論文のランニング・コメンタリーです。 理想〈2018 No.700〉特集 ドイツ近世哲学―私たちにとってのドイツ観念論 出版社/メーカー: 理想社 発売日: 2018/03/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る バックナンバー一覧を見た感じ、分析哲学は憎む…

てつがくカフェ@八王子「ファッションから考えるグローバルな正義」

2017年9月2日(土)に八王子生涯学習センターで、こんなイベントを行いました。開催趣旨の詳しいことは ↓ をご覧ください。 「服」は私たちにとって文字通り最も身近なものですが、それがどんなふうに作られているかについては案外、知らないものです。いわ…

亀本洋「世代間の衡平」(論ジュリ22号、2017年)について

標記の論考にて*1、亀本洋は「世代間衡平を損得問題として考えるかぎり、道徳問題は生じない。したがって、正義の問題も生じない」(70頁)と述べている。年金問題などにおける世代間の不公平は「正義の問題ではなく、正義と直接関係しない単なる政策問題で…

「シルバー民主主義時代のポスト福祉国家」読書会

2017年9月10日(日)に、大阪の福島区民センターで標記のような読書会を開催しました。研究合宿で関西出張だったので、どうせなら関西の方々と交流できたらと思いまして。ツイッターで協力を募ったところ、りべらびさんが手をあげてくださって、いろいろと準…

カスタマイズできる世界とオプションとしての世界

わたしはインターネットに詳しい。 などというとさっそく、なんだか困った人になるのだが、私個人はともかく、世代的にはそう間違いではない。今回の「とちぎ消費者カレッジ*1」にお招きした先生方と私はおおむね同世代の「アラサー」だが*2、インターネット…

永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』

永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス、2016年6月)、話題になっていたので読んでみた。以下、いくつかのメモ。 作品としては全体的にちょっときれいに描きすぎている感じもあるので(まあそこがいいのだろうが)、続編を読…

法哲学講義「自由の概念分析」(2)

(第1回はこちら) 自由の時間的な幅 ではちょっと戻りながら、重要そうなところを確認していきましょう。1番、「強盗に銃を突きつけられているので、動けない」。たぶんこれ、みなさんとしては典型的な自由・不自由の問題と考えたんじゃないかなと思います…

井上達夫「批判者たちへの「逞しきリベラリスト」の応答」に思うこと

1. はじめに 井上達夫先生より、『法と哲学』第2号をご恵投いただいた。今号には多くの興味深い論考が掲載されているが、圧巻は井上先生による、瀧川・大屋・谷口編『逞しきリベラリストとその批判者たちーー井上達夫の法哲学』(ナカニシヤ出版、2015年、…

法哲学講義「自由の概念分析」(1)

1. 法概念論に向けて では、始めます。今回で8回目で、ちょうど折り返し地点という感じですね。これまで扱ってきたのは「正義論」と呼ばれる分野で、たくさんの立場、たとえばリベラリズムとかリバタニアリズムとか功利主義とか、いろいろ紹介してきました…

キャンパス・ハラスメント防止啓発委員会より――大学1年生に向けて

こんにちは、法律学担当の吉良です。これから10分ぐらい、キャンパス・ハラスメント防止委員会からのお話をします。お配りの資料のなかにパンフレットが入っていますので、それを見ながらちょっと聞いてください。 キャンパス・ハラスメントとは何か? キャ…

尾高朝雄の著作一覧

同年に複数の著作がある場合、単著書については[尾高 1947A][尾高 1947B]と大文字アルファベットで区別し、論文等については[尾高 1947a][尾高 1947b]と小文字で区別している。同じ年の中の順序は便宜的なもので、出版順ではない。旧字は適宜、新字…

尾高朝雄と民主主義のためのノート (1)

1948年から49年にかけて出版された文部省教科書『民主主義』は、平易な文体ながら、現代の民主主義理論にとっても示唆に満ちた記述があふれる書である。1995年には径書房から復刻版が出されている。復刻版で400ページ近いこの本は「教科書」ということで一般…

荒木優太「反偶然の共生空間」へのランニング・コメンタリー

2016年1月10日の若手法哲学研究会にお呼びしてお話いただく荒木優太さんの「反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ」(群像新人評論賞優秀作、群像2015年11月号)の感想です。本作はロールズ『正義論』の意欲的な読み方を示すものであるとともに、ご…

森村進「還元主義的人格観とリバタリアニズム――吉良貴之会員への応答」への応答

森村進先生(一橋大学)から、前年に先生の著書『リバタリアンはこう考える』(信山社出版、2013年)について私が書いた書評「リバタリアニズムにおける時間と人格」(『法哲学年報2013』2014年10月、以下「書評」とする)への応答をいただいた(森村進「還…

法哲学/分析美学読書会のお知らせ

【創価大学法学部・文学部ほかのみなさんへ】今週金曜(9月25日)から、法哲学読書会を再開します。文献は『分析美学基本論文集』です。場所は【中央教育棟AW1128か1129の空いてるほう】、時間は4限~5限です。出入り自由のゆるい会なので、つまみ食い参加OK…

左足腓骨骨折記2

腓骨骨折記が長くなってきたので2つに分けました。ここからはセカンドオピニオン編です。1はこちら。 2015.8.28(66日目:セカンドオピニオン) 近くのベテランっぽい整形外科へ。このブログに書いてある内容を箇条書きにして渡すと、ふむふむ、という感じ…

左足腓骨骨折記

2015.6.24(1日目:受傷) 30代大学教員、男性。腓骨骨折日記です。各種ブログで同様の症状の方の体験記を読んで励まされたので、自分も少し書いておく。もちろん、症状や治癒速度は個人差がすごく大きいので、お医者さんの意見を最優先にしてください。また…

GID特例法により性別変更した男性の子の嫡出推定(2013.12.10 最高裁)

性別変更した男性と、精子提供の子は父子 最高裁初判断:朝日新聞デジタル 決定の全文はこちらから。 読みながら思ったことをメモしてみます。 【まとめ】 民法722条の嫡出推定について、苦しいバランスを取りながら救済を図ったものといえそう。近時の最高…

映画「ハンナ・アーレント」

2012年11月に東京国際映画祭で鑑賞したときのメモ。 700人ぐらいの会場が満杯で、こんなマイナーなニュージャーマンシネマに人が集まるとはとちょっとした感動をおぼえる。ファスビンダーとかやっても3人ぐらいしか来ないのに。別にドイツ関係なくてアーレン…

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